悪の坩堝のような50年代のロサンジェルス市警に生きる三人の警官―幼時のトラウマから女に対する暴力を異常に憎むホワイト、辣腕警視だった父をもち、屈折した上昇志向の権化エクスリー、麻薬課勤務をいいことに芸能界や三流ジャーナリズムに食指を伸ばすヴィンセンズ。

シンガポールに向かう豪華客船に乗り、久しぶりのバカンスを楽しもうとしていた麗子と影山。

ペレストロイカによって改革の進むモスクワ。

2021年、世界中でなぜか子供が生まれなくなり四半世紀が過ぎた。

石油王が失踪した。失踪か? 誘拐か? 夫人の依頼により調査を開始した私立探偵リュー・アーチャー。

抉られた腹部にへその緒だけを残した女性の死体が発見された。

父と母、幼い二人の弟の遺体は顔を砕かれていた。秋葉家を襲った一家惨殺事件。

清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。

壊れるまでに張りつめた気持ち。ごまかすことも、そらすこともできない―二十歳の恋。

ライターの「僕」は、ある猟奇殺人事件の被告に面会に行く。彼は、二人の女性を殺した容疑で逮捕され、死刑判決を受けていた。

都内の2LDKに暮らす男女四人の若者達。本音を明かさず、“本当の自分”を装うことで優しく怠惰に続く共同生活。

選考に関わる全ての人の心を震わせた、第23回電撃小説大賞≪大賞≫受賞作　 大切な人の死から、どこかなげやりに生きてる僕。

転入生の瀬戸加奈は、クラス全員の冷たい視線を感じた。加奈が座ったのは“呪いの席”だったのだ。

このことは誰も知らない―四百年の長きにわたる歴史の封印を解いたのは、東京から来た会計検査院の調査官三人と大阪下町育ちの少年少女だった。

札幌の歓楽街ススキノで便利屋をなりわいにする「俺」は、いつものようにバーの扉をあけたが…今夜待っていたのは大学の後輩。

クラスで一番地味な高校生である阿武隈川道子は、2年生で初めて携帯電話を手に入れた。

愛する女性を失い、己を罰するように生きてきた鷲田完治。

みんな、しあわせなのだろうか。「考えるだけ無駄か。

僕は運命を変える。

全国500万の「佐藤」姓を皆殺しにせよ!―西暦3000年、国王はある日突然、7日間にわたる大量虐殺を決行した。

「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある神経科を訪ねた患者たちは、甲高い声に迎えられる。

小学校6年生になった長男の僕の名前は二郎。父の名前は一郎。

優雅だが、どこかうらぶれた男、一見、おとなしそうな若い女、アパートの押入れから漂う、罪の異臭。

地味で目立たぬOL本田小百合は、港が見える自分の町をリスボンに見立てるのがひそかな愉しみ。

玄武書房に勤める馬締光也は営業部では変人として持て余されていたが、新しい辞書『大渡海』編纂メンバーとして辞書編集部に迎えられる。

失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。

郵便配達員として働く三十歳の僕。ちょっと映画オタク。

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。

あれは本当に事故だったのだと、私に納得させてください。高校卒業以来十年ぶりに放送部の同級生が集まった地元での結婚式。

「私たち、お父さんのこと何も知らない」。胸を刺された男性が日本橋の上で息絶えた。